大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

福岡高等裁判所 昭和29年(う)2258号 判決

所論は原審は第二回公判において前回検察官申請の証拠中検第二十五号乃至同第二十九号の供述調書に対する証拠調を留保しながらその後右証拠調決定をなすことなく同第三回公判に右各調書の証拠調を施行している。右は刑事訴訟規則第百九十条に違反し該手続違背は判決に影響があること勿論である故原判決は破棄さるべきであると云うのである。

よつて審按するに原審第二回公判調書には所論のような証拠調の留保の記載があるのに同第三回公判調書には右留保中の証拠の取調をする旨記載がないに拘らず同公判において該証拠調が施行されていること所論の通りである。

又所謂証拠調は証拠決定の施行であるからして証拠調に先ち証拠決定の存在を必要とすることも論議の余地のないところである。しかしながら公判調書に右の記載がないからと云つて直ちに証拠決定自体がなかつたと速断することは到底許されない(刑事訴訟法第五十二条をも参照)。現実に証拠調が施行されたことが公判調書に明記してある以上特段の事情がない限り証拠調に先ち証拠調をなす旨の決定があつたものと解するをむしろ相当とする。従つて本論旨は理由がない。

(裁判長判事 柳田躬則 判事 青木亮忠 判事 鈴木進)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!